
今日は、「第61回百想芸術大賞」でバラエティ番組として初めて大賞を受賞したNetflixの韓国バラエティ番組『白と黒のスプーン ~料理階級戦争~』(以下『白と黒のスプーン』)についてご紹介したいと思います。
(第61回百想芸術大賞受賞作品はこちら↓↓↓)
2025年5月5日に開催された「第61回百想芸術大賞」で、Netflixのバラエティ番組『白と黒のスプーン』が栄えある大賞を受賞し、大きな話題となりました。
これまで百想芸術大賞では、バラエティ番組やバラエティタレントが軽視されているという指摘もあった中での快挙だったため、その意味は非常に大きいと言えます。
この受賞について専門家たちは、「韓国のバラエティ番組が一段と進化するきっかけとなり、世界的な評価を得るための重要なステップになった」と高く評価しています。
『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』基本情報

- タイトル:白と黒のスプーン~料理階級戦争~
- 原題: 흑백요리사 : 요리 계급 전쟁
- 配信OTT:Netflix
- 配信開始日:2024年9月17日
- エピソード数:全12話
- 審査員:ペク・ジョンウォン、アン・ソンジェ
番組概要

『白と黒のスプーン』は、100人の料理人が「黒スプーン(アマチュア)」と「白スプーン(プロフェッショナル)」に分かれ、料理の腕前を競い合うサバイバル番組です。
各エピソードでは、与えられたテーマに基づいて料理を作り、審査員が味のみで評価します。最終的に勝ち残った料理人が優勝となります。
海外・韓国評価指標
類似番組との比較と差別化

これまでにも料理人が競い合う番組は存在しました。例えば、
- 『冷蔵庫をよろしく(냉장고를 부탁해)』
- 『マスターシェフ・コリア(마스터셰프 코리아)』
- 『クック代表(쿡가대표)』
しかし、『白と黒のスプーン』は、参加者を「白スプーン」と「黒スプーン」に分け、階級の壁を越えた対決を描く点で新鮮です。特に、審査員が目隠しをして味覚だけで評価する方式は、公平性を保ちつつ、予測不能な展開を生み出しています。


さらに、100人が同時に調理可能な巨大なキッチンスタジオや、個人戦から団体戦、仮想レストランの運営まで、多彩なミッションが用意されており、料理人としての総合力が試されます。
このように、『白と黒のスプーン』は、従来の料理番組の枠を超えた革新的なアプローチで、視聴者に新たな体験を提供しています。
MZ世代にシンドローム的な人気
『白と黒のスプーン』は、韓国で社会現象とも言える人気を博し、外食業界や消費者の行動に大きな影響を与えました。
番組の放送後、出演シェフが運営するレストランの予約が急増し、予約アプリ「キャッチテーブル」では、出演シェフが運営するレストラン検索が74倍増加!ある店舗は予約が1秒で完売するなどの現象が起きました。
また、ミシュランガイド掲載の高級レストラン33店舗では、放送後3週間で前年同期比23.3%の売上増加が報告され、特に20~30代の若年層の来店が顕著に増加しました。

この熱狂は外食業界にとどまらず、食品業界にも波及しました。番組で紹介された「ナポリマフィア」の「栗のティラミスカップ」は、CUとのコラボ商品として発売され、予約販売開始からわずか20分で20万個が完売しました。また、番組で使用された食材や調味料の売上も大幅に増加し、例えば、オットゥギのごま油や農心のラーメン「ノグリ」の売上が急増しました。
さらに、番組の影響で「ファインダイニング」や「韓国料理」に対する関心が高まり、ネイバーデータラボによると、「ファインダイニング」の検索量が9月中旬から約20倍に増加しました。
このように、『白と黒のスプーン』は、韓国の食文化や外食産業に新たな活力をもたらし、MZ世代を中心に料理への関心を高めるきっかけとなりました。
個人的な感想
『白と黒のスプーン』はアマチュアとプロフェッショナルが味のみで勝負するという新鮮なコンセプトが魅力でした。
(1) 有名シェフが一堂に会します!

チェ・ヒョンソク、チョン・ジソン、ヨ・ギョンレ、オ・セドゥクなど、韓国の芸能番組で有名になったり、料理対決番組に出て優勝するなど、有名シェフが一堂に会したのも不思議でした。
(2) アン・ソンジェシェフの存在感

審査員として出演したアン・ソンジェシェフ。当初、その厳格な審査スタイルは冷たく感じられることもありましたが、次第に彼の一言一言に注目が集まり、彼の評価を待ち望むようになりました。笑
番組放送後、彼の人気は急上昇し、広告やバラエティ番組への出演が増加しました。例えば、サンドイッチブランド「サブウェイ」の広告では、彼の率直なコメントが話題となり、視聴者から高い評価を受けました。また、ポルシェの広告にも出演し、彼の多才な魅力が注目されています。
このように、彼はその卓越した料理技術だけでなく、独自のキャラクターと率直な物言いで、多くの人々の関心を集めています。彼の今後の活躍がさらに期待されます。
(3) 食欲をそそる映像美



『白と黒のスプーン』の映像美は、番組の人気を支える重要な要素の一つです。料理の質感や色彩を際立たせる高品質な映像は、視聴者に強い印象を与えました。
番組では、100人のシェフが同時に調理する大規模なキッチンスタジオを舞台に、料理の過程や完成品を美しく映し出しています。特に、食材の新鮮さや料理の繊細なディテールを捉えるカメラワークと照明技術は、視覚的な魅力を最大限に引き出しています。
また、番組の編集も秀逸で、複数のカメラで撮影された映像をスムーズに繋ぎ合わせることで、視聴者はまるでその場にいるかのような臨場感を味わえます。このような映像表現は、料理番組としての枠を超え、まるで映画のような感覚を与えています。
さらに、料理人たちの情熱や緊張感を映像で巧みに表現することで、視聴者は彼らの物語に引き込まれ、感情移入しやすくなっています。
『白と黒のスプーン 』は、単なる料理対決番組の枠を超え、韓国社会における階級や努力、才能の価値を問いかける作品として、多くの視聴者の心を掴みました。プロフェッショナルとアマチュアが「味」だけで勝負するという斬新なコンセプトは、視聴者に新たな視点を提供し、料理の世界における真の実力とは何かを考えさせられました。
この番組は、料理を通じて人間の可能性や努力の尊さを描き出し、多くの人々に希望と勇気を与えました。今、シーズン2を制作しているらしいですね。今回はどんな新たな感動を提供してくれることを期待しています。