
現在、aespaのカリナを巡って大きな論争が巻き起こっています。
カリナは5月27日、自身のSNSに「2」の数字が大きく描かれた赤いウィンドブレーカー姿の写真を1枚投稿しましたが、そのたった一枚の写真が大きな波紋を呼んでいるのです。
今回の論争の焦点は、カリナが特定の候補者を公然と支持したのかどうかという点です。
現在韓国では大統領選挙という一大イベントを目前に控え、国民の関心が非常に高まっている状況です。
そんな中、「2」という数字と「赤色」の組み合わせによって、カリナは思いがけず「保守派支持者」とレッテルを貼られてしまいました。
韓国では色によって政治的立場を判断されることがあります。
青は「進歩(リベラル)」、赤は「保守」を象徴する色として広く認識されているのです。韓国では、政治的な立場を「色」で判断する文化があります。
一般的に、青は進歩(リベラル)、赤は保守(コンサバティブ)を象徴する色として認識されています。そのため、大統領選挙などの政治イベントが行われる時期には、身にまとう色ひとつにも敏感な視線が注がれます。
現在、韓国では特別な政治状況が進行中です。保守系の「国民の力」出身であるユン・ソクリョル大統領が弾劾され、それに伴い再び大統領の早期選挙が実施されることとなりました。
選挙日は6月3日で、候補者の登録はすでに完了しています。有権者の判断を助けるために、3回にわたるテレビ討論会が行われ、最後の第3回討論は5月27日午後8時に放送されました。

こうした中、進歩系の「共に民主党(通称:民主党)」は青を象徴カラーに、保守系の「国民の力」は赤をそれぞれ使用しており、国民の間でもこの色分けは広く浸透しています。
とくに選挙期間中は、この「色」によってその人の政治的立場が推測されることもあるため、有名人や芸能人は服の色選び一つにも細心の注意を払わなければならない現実があります。
現在は、尹大統領の弾劾という背景もあり、進歩系政党に対する国民の支持が大きく高まっている状況です。
カリナのファッションが物議?保守支持の意図があるのか?

では、なぜカリナが今回、議論の中心に立たされたのでしょうか?
カリナがSNSに投稿した衣装のデザインを見ると、右胸に大きく「2」という数字が書かれており、赤いストライプ模様が目立ちます。

この服は「VAQUERA(バケラ)」というアメリカのブランドのもので、現在は完売状態です。
(1) タイミングの問題

問題となったのは、この写真が大統領選第3回討論会の真っ只中に投稿されたことです。
保守系候補が有力候補を攻撃していたタイミングで投稿され、しかもその攻撃ポイントが「女性に対する性的ハラスメント」に関するものでした。
そんな状況で「2」の数字が目立つ赤い服を着ていたことで、「特定の候補を支持しているのではないか」という憶測と論争が巻き起こりました。
(2) 政治家の息子の問題

今回、カリナに注目が集まったもう一つの理由は、有力大統領候補イ・ジェミョン氏の息子に関する問題が再び浮上したためです。
2021年、保守派系のYouTuberグループ「カロセロ研究所」(あいつらはどこにでも出てくるね…)が、「イ・ジェミョン氏の息子がカリナに対し性的な発言をしてハラスメントを行った」と主張しました。
この疑惑は今も解決されていません。
そして、第3回討論会では保守系候補たちがこの問題を再度取り上げました。
証拠が明確でないため確信的なことは言えませんが、「カリナはまだ彼を許していないのではないか」との憶測が飛び交っています。
(3) 背景音楽の意図?

その写真と一緒に投稿された背景音楽も、論争の的となりました。
カリナは「Don’t Remind Me(思い出させないで)」という曲を添えていましたが、保守派の支持者たちはこれを「過去の事件を蒸し返すな」という意味に解釈する傾向にあります。
ここでいう「過去の事件」とは、先述の有力候補の息子によるハラスメント疑惑のことを指しているのでしょう。
過去にも物議を醸した芸能人たち

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女優のハン・ジヒョンは、選挙当日に「私は空色が似合うみたい」と投稿して保守層から「進歩派支持」と非難を浴びました。
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2020年の第21回国会議員総選挙では、歌手のソン・ガインが空色の服を着て投票促進キャンペーンに参加したことで、やはり保守層に攻撃されました。
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女優チョ・ボアも、事前投票を呼びかける投稿でツツジの写真を載せたことが「特定政党の支持表明」だとされて批判されました。
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芸人ユ・ジェソクは、青い帽子をかぶって投票所に現れたことで「民主党に投票したのか」と保守層から悪質なコメント攻撃を受けました。
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歌手イ・ヒョリは、進歩派の小説家が書いた投票呼びかけ文をリツイートしたり、双竜自動車の解雇労働者問題に関心を示したことで、「進歩派芸能人」としてバッシングを受けました。
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EXID出身の女優ハニは、第20代大統領選挙で「本当に難しかった今回の選挙」という認証投稿をしたところ、「今回(=2番=ユン・ソギョル)」の意味だと受け取られて非難されました。
ひたすら慎重に、また慎重に行動するしかない。

突然のカリナの政治的立場に関する論争により、カリナのファン層は「ある女性芸能人のSNS投稿が特定の政治的意味として恣意的に解釈され、論争が拡大し、単なる意見表明を超えて名誉毀損や性的中傷、個人情報の攻撃にまで発展している」と指摘し、対応に乗り出しました。
またカリナは、この突如として巻き起こった論争により、問題となったSNS投稿をわずか1時間で削除しましたが、現在まで所属事務所からの説明は一切ありません。
この出来事を通して、改めて韓国で芸能人として生きることがいかに大変かを痛感させられました。
少数の芸能人は堂々と自分の政治的立場を明らかにすることもありますが、多くの芸能人はひたすら慎重に、また慎重に行動する姿を見せています。
たとえば、大統領選挙期間中には、ファンに向けてピースサイン(Vサイン)を控えたり、投票時には無彩色の服を選ぶといった行動がその一例です。
ファンもまた、自分の「推し」が世間から非難されるのではと不安になり、特定のポーズを取ろうとする瞬間にすぐさま止めるような行動を見せることもあります。
毎回選挙の時期になると、芸能人の手の動きひとつ、話し方、服の色などで「進歩派(リベラル)なのか」「保守派なのか」と分けて無条件に批判し、何もしていない芸能人に対しても「どちらの立場なのか」を迫るような風潮を見ると、韓国の政治文化があまりにも極端に走っているのではないかという気がしてなりません。
芸能人も人間です。自分の考えを語ることも、表現することもできます。
しかし、芸能人が社会に与える影響力を考えると、それを軽々しく発信できる問題でもないのかもしれません。
ただ、極端に分断された韓国の政治文化は、できるだけ早く解決すべき課題であることは確かだと思います。