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『哲仁王后』vs『暴君のシェフ』比較:タイムスリップ料理ドラマで視聴者反応が分かれた理由

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現代の料理人が朝鮮時代にタイムスリップする、という似た設定を持つ韓国ドラマ『哲仁王后〜俺がクイーン!?』(以下哲仁王后)と『暴君のシェフ』。

『哲仁王后』(左)と『暴君のシェフ』(右)

両作品は、似た時代背景にもかかわらず、異なる論争に巻き込まれました。

実在の歴史人物や事件を扱った『哲人皇后』は「歴史改変」として批判されましたが、『暴君のシェフ』はファンがドラマを擁護し、批判側が非難されるという正反対の反応に。

今回は、この2つの作品がなぜこれほど異なる評価を受けたのかを比較し、考察します。

🍂 『哲仁王后』と 『暴君のシェフ』基本情報 🍁

項目 『哲仁王后』 『暴君のシェフ』
原題 철인왕후 폭군의 셰프
英題 Mr. Queen Bon Appétit, Your Majesty
原作 中国ウェブドラマ『太子妃升職記』 パク・グクジェ ウェブ小説『燕山君のシェフとして生き残る』
ジャンル 融合時代劇、ファンタジー、コメディ、ロマンス サバイバルファンタジーロマンティックコメディ
放送 tvN、TVING tvN
グローバルOTT Netflix、Rakuten Viki Netflix
日本OTT U-NEXT Netflix
放送期間 2020年12月12日~2021年2月14日 2025年8月23日~2025年9月28日
全話数 20話 12話
制作 スタジオドラゴン、JSピクチャーズ スタジオドラゴン
演出 ユン・ソンシク チャン・テユ
 脚本 パク・ゲオク、チェ・アイル fGRD
出演 シン・ヘソン、キム・ジョンヒョン、ペ・ジョンオク、キム・テウ ほか イム・ユナ、イ・チェミン、カン・ハンナ、チェ・グィファ ほか

📺『哲仁王后』あらすじ

現代の大韓民国・青瓦台のシェフ、チャン・ボンファンは不慮の事故で朝鮮時代にタイムスリップし、哲仁王后キム・ソヨンの身体に憑依してしまう。
男性の魂が女性の体、しかも王室最高位の中殿の体に閉じ込められることで、前代未聞の宮中生活が展開される。
ボンファンは現代の知識と卓越した料理の腕を駆使して宮中の人々を驚かせ、複雑な宮廷陰謀の中で生き抜くために奮闘する。
一方、表裏のある気難しい哲宗と関わり、思いもよらぬロマンス関係を築くことになる。
コメディ、スリル、感動が融合した愉快な融合時代劇である。

🔪『暴君のシェフ』あらすじ

現代フランスのミシュランレストランで活躍する実力派女性シェフ、ヨン・ジヨンは、思いがけない事故で朝鮮時代にタイムスリップする。
彼女は「暴君」と呼ばれる若い王イ・ホンに出会い、優れた現代料理の技術を駆使して宮中で生き延びるという前代未聞の運命に直面する。
ジヨンは斬新な料理で王の味覚と心をつかみ、宮中の政治的陰謀や権力争いに巻き込まれるが、料理の力で暴君を変え、人々を救う。
混乱の中で芽生える切ないロマンスと、料理本来の意味を探求するファンタジーサバイバルロマンティックコメディである。

📌 ポイント
両作品は「現代の料理人が朝鮮王室にタイムスリップし、料理で運命に挑む融合時代劇」という共通点を持つ。

『哲仁王后』論争の争点

1️⃣ 実在の歴史人物の茶化し・侮辱

劇中で神貞王后(チョ氏)を迷信に傾倒した人物として描き、哲宗や哲仁王后も過度にコミカルで軽率なキャラクターとして描写されたことから、歴史改変論争が巻き起こしました。
これに対して、神貞王后の子孫であるプンヤン・チョ氏一族は反発し、強硬な対応を取ると表明しました。
こうした論争は、実在人物に対する描写が歴史的敬意を欠くとの批判につながったのです。

2️⃣ 朝鮮王朝実録の軽視

朝鮮王朝実録は国宝であり、ユネスコ世界記録遺産であるが、劇中ではこれを「タブロイド」と表現し、大きな波紋を呼び出しましだ。
視聴者は「歴史記録を軽んじている」として、制作陣の歴史認識に疑問を呈しました。

3️⃣ 原作ウェブ小説・ウェブドラマの嫌韓論争

『哲仁王后』は中国のウェブドラマ『太子妃升職記』のリメイク作品です。
しかし、原作作者が過去に韓国の歴史や独立運動を侮辱する発言をしたことが明らかになり、「なぜこの作品をリメイクしたのか」との疑問と批判が相次いました。

『暴君のシェフ』論争の争点

 料理審査シーンによる歴史改変論争

『暴君のシェフ』での歴史改変論争は、作品後半で提起された。最大の論点は、朝鮮王と明の使臣が並んで料理審査を行うシーンです。
一部の視聴者は「一国の王が外国使臣と同じ席に座るのは王を軽んじる行為だ」と批判しました。
また、この演出が中国に韓国の威信を低く見せる恐れがあるとの懸念もありました。

歴史改変論争後の制作陣と視聴者の反応

📺 『哲仁王后』論争の反応まとめ

メディアは作品論争について詳細に報道し批判、視聴者による国民請願、広告不買運動など社会的反響も大きく取り上げられました。
制作陣は謝罪し、登場人物の関係を変更、問題のシーンを削除するなどで対応。これにより視聴率は徐々に回復しました。
しかし、一部の視聴者は激しく怒り、オンライン世論や広告不買、放送中止要求など積極的に対応しました。

🔪 『暴君のシェフ』論争の反応まとめ

後半で、朝鮮王と明の使臣が並んで座るシーンが問題となったが、論争直後に原作者が公式歴史資料に基づき、当時実際に使臣が上席に座っていたと説明。さらに、ドラマはむしろそれを順化した設定だと解説しました。
そのため視聴者は「史実考証に忠実なドラマだった」と作品を称賛し、むしろ論争を煽ったメディアを批判する声が大きくなりました。

なぜ韓国視聴者はこんなに敏感?両作品の論争を読み解くヒント

『哲仁王后』と『暴君のシェフ』の論争を理解するには、まず韓国視聴者の特徴を押さえる必要があります。

1️⃣ 民族的アイデンティティへの強い敏感さ

韓国は近現代史で外勢による侵略や植民支配を繰り返し経験し、「民族の消滅」に対する集団的恐怖心を抱いてきました。
そのため、韓国人は「民族=生存」という認識を強く持ち、国家や民族を侮辱・歪曲する発言には特に敏感に反応する傾向があります。

2️⃣ 創作者とコンテンツに求められる高い倫理基準

韓国視聴者は文化コンテンツを制作する創作者に比較的高い道徳性と責任感を求めます。
過去の嫌韓発言や非倫理的行動が明らかになると、単なる個人の問題と見なさず、その人物の創作物全体の信頼が失われたと判断しやすいです。

3️⃣ 作品の「真実性」重視

韓国視聴者は単に娯楽として作品を消費するだけでなく、作品にどんなメッセージが込められているか、創作者がどんな意図で作ったかを重視します。
作品に「真実性」を感じれば熱狂するが、創作者の価値観や意図が不快に感じられる場合は、作品そのものを否定的に評価することも多いです。

これらの特徴を理解すれば、なぜ両作品の論争がまったく異なる方向に進んだのか、少し理解しやすくなると思います。

異なる視聴者反応の理由

1️⃣ ファンタジーと歴史の境界

『哲仁王后』と『暴君のシェフ』の最大の違いは、実在人物の使用の有無です。
『哲仁王后』では、鉄宗、純元王后、宣靖王后などの実在人物がそのまま登場しました。そのため、視聴者はタイムスリップというファンタジー要素があっても、ある程度歴史的事実に基づいた展開を期待しました。

しかしドラマは登場人物を過度にコミカルに描き、実在の王室人物に軽率な行動や冗談めいた描写を与えたため、歴史歪曲の議論に巻き込まれました。制作陣は後になって「架空の人物」であることを強調しましたが、視聴者の認識は簡単には変わりませんでした。



一方、『暴君のシェフ』は燕山君時代をモチーフにしていますが、人物名・事件名・地名などをすべて架空に変更し、歴史とドラマの境界を明確にしました。そのおかげで、視聴者はこの作品を「歴史劇」というより「歴史ファンタジー」と受け止め、歴史歪曲の議論から比較的自由でいられました。

✍️ ポイント:『哲仁王后』は実在人物をコミカルに描くことで歴史歪曲の議論を招きましたが、『暴君のシェフ』は架空の人物設定で議論を避けることができました!
2️⃣ 歴史記録への敬意

『哲仁王后』で最も大きな議論を呼んだシーンの一つは、朝鮮王朝実録を「チラシ(찌라시)」と呼ぶセリフでした。

朝鮮王朝実録は朝鮮500年の歴史を記録した国宝であり、ユネスコ世界記録遺産です。

韓国の視聴者にとっては非常に象徴的で尊厳のある歴史記録であり、それを軽くコミカルに描写する表現は強い反発を呼びました。

特に海外版では「tabloid(ゴシップ紙)」と翻訳され、外国の視聴者が本当に軽い記録だと誤解することもありました。

一方、『暴君のシェフ』はファンタジー作品でありながらも、歴史的な考証をかなり忠実に反映していました。

朝鮮時代に実際に手に入る食材で料理を作るシーンを丁寧に描き、明の使節と朝鮮王が同じ席に座るシーンも、実際の歴史よりむしろ穏やかに描かれていたことが判明し、議論はすぐに収束しました。

✍️ ポイント:『哲仁王后』は歴史を“コミカル”に描くことに集中し議論を招きましたが、『暴君のシェフ』は歴史考証をある程度忠実に反映して議論を鎮めました!
3️⃣ 中国資本と嫌韓作家の論争

『哲仁王后』放送当時、韓国では中国資本が大規模に投入され、作品内で突然中国製品のPPLや中国料理を称賛するシーンが頻繁に登場し、視聴者の不快感が高まりました。

さらに、中国が韓国文化を自国文化だと主張する「文化工程」論争も重なり、中国関連コンテンツ全般に対する拒否感が最大化されていた状況でした。
そのタイミングで、原作作家の過去の嫌韓発言が明らかになると、韓国の視聴者は『哲仁王后』の意図自体を疑い始めました。

実際にドラマが嫌韓的でなくても、視聴者は創作者の“真摯さ”に疑問を抱き、不快感はさらに増しました。

一方、『暴君のシェフ』は韓国ウェブ小説が原作で、外国料理を紹介しつつも韓国文化を自然に取り入れ、視聴者から爆発的な反応を得ました。

✍️ ポイント:『哲仁王后』は嫌韓作家論争と中国文化工程の時期が重なり 🇨🇳 真摯さが疑われましたが、『暴君のシェフ』は韓国原作のため ❤️ 安心して受け入れられました!

📝 まとめ

『哲仁王后』と『暴君のシェフ』はどちらも「現代の料理人 → 朝鮮時代タイムスリップ」という興味深い設定を共有していますが、視聴者の反応は全く異なりました。
二作品の運命を分けたのは、歴史とファンタジーの境界をどこに置いたか、そして創作者の意図と真摯さを視聴者にどれだけ説得力を持って伝えられたかでした。
今後も時代劇や歴史ファンタジージャンルでは、このバランス感覚と真摯さが視聴者の支持を得る重要な鍵となるでしょう。

 

 

※「暴君のシェフ」の感想が気になる方は、ぜひ下のリンクをチェックしてください!

hallyutoki.hatenablog.com