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Netflix映画『グッドニュース』最終レビュー|日韓の反応とブラックコメディが描く現代社会の鏡

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※ 少しばかりネタバレが含まれています。映画をすでに視聴された方、または内容を事前に知っていても大丈夫な方のみお読みくださいね!

 

 

お久しぶりです。風邪をひいてしまい、1週間ほどブログの更新をお休みしていました。待っていてくださった皆さん、本当にありがとうございます。
体調もすっかり回復したので、休んでいる間に温めていた面白い話を少しずつお届けしていこうと思います。

前回までは映画『グッドニュース』のキャスティングや見どころについて紹介してきましたが、今回はその最終回として、鑑賞後の率直な感想と、韓日それぞれの視聴者の反応を中心にまとめてみました。

では、さっそく始めましょう🎬

『グッドニュース』最後の物語

これまでの2回の投稿では、Netflix映画『グッドニュース』のキャスト、歴史的背景、
そして制作発表会で明らかになった注目ポイントについて詳しく取り上げてきました。

hallyutoki.hatenablog.com

 

hallyutoki.hatenablog.com


1970年代に起きた「よど号ハイジャック事件」という実際の出来事をモチーフにしている点、そしてピョン・ソンヒョン監督ならではの“ブラックコメディ・スリラー”というジャンルが、多くの視聴者の関心を集めました。

ついに公開された今、果たして『グッドニュース』はその期待に応えられたのか。
そしてこの作品が韓国と日本の両国にどのようなメッセージと反響をもたらしたのか。
今回はその点を中心に深掘りしていきます。

1. ごく個人的な正直レビュー:ブラックコメディの真髄

正直に言うと、映画『グッドニュース』は予想を遥かに超えて過激で挑発的な作品でした。

1-1. 危険な題材、絶妙なバランス

1970年の日本・よど号ハイジャック事件は、今なお日本社会に深い傷を残す敏感なテーマです。
こうした重い題材をブラックコメディとして描くと、軽く見られてしまうリスクがあります。
それでもピョン・ソンヒョン監督は、決して軽薄にはせず、風刺とユーモアのバランスを見事に保ちました。

たとえば、個人的に印象的だったのは「飛行機の二重駐車」シーン。日本政府の対テロ対応の甘さを皮肉りながらも、観客の笑いを誘う場面でした。(ちなみにこのシーンは実際の事件を再現したものです。)
『グッドニュース』はリアリティとブラックユーモアを巧みに融合させ、監督が伝えたかったメッセージを鮮明に描き出した作品だと思います。

1-2. 俳優たちの熱演① ― 日本俳優陣の快演

『グッドニュース』の大きな見どころの一つは、何と言っても日韓の名優たちによる演技合戦です。
韓国では「日本の俳優はセリフ回しがぎこちない」といった偏見もありますが、
今作ではその印象を完全に覆しました。

  • 笠松将(デンジ役):テロリストのリーダー・デンジを演じ、無駄のない感情表現と明確なセリフ運び、抜群のカリスマ性で観客を惹きつけました。「この俳優なら韓国でも人気が出そう」と思うほど。
  • 山田孝之(シンイチ役):発言の少ない役柄ながらも、戸惑いと不安をたたえた表情で政治家の内面を繊細に表現。頼りないながらも国民を思う姿に、彼が長年愛される理由を再確認しました。
1-3. 俳優たちの熱演② ― 韓国俳優、やはり格が違う!

  • ソル・ギョング(問題解決屋役):冷静さと抜け感を行き来する演技で、ブラックコメディの醍醐味を見事に表現。過剰に見えるほどの演技が、むしろ作品のアイロニーを際立たせています。
  • リュ・スンボム(パク・サンヒョン部長役):権力の冷たさと滑稽さを併せ持つキャラクターを演じ、政治風刺に深みを与えました。
  • ホン・ギョン(ソ・ゴミョン中尉役):野心と正義感の間で揺れる若者を繊細に描き、観客の共感を最も引き出した存在でした。

2. 韓・米・日 三か国政府への痛烈な風刺

この映画を特に気に入った理由は、誘拐事件という極限状況の中で露わになる韓国・日本・アメリカ各国政府の偽善と二重性、そして人間の滑稽さを鋭く風刺している点です。
『グッドニュース』は特定の国家を批判するのではなく、あらゆる権力構造に潜む矛盾と自己正当化をブラックコメディの形式で描き出します。

2-1. 🇰🇷 韓国 ― 冷戦の論理と体制宣伝

ハイジャックされた飛行機を金浦空港に偽装着陸させるという奇抜な発想の裏には、北朝鮮への亡命を阻止し、“自由陣営の守護者”としての立場を誇示したい政治的計算があります。
この逆説的な構造こそが、映画タイトル『グッドニュース』の皮肉を際立たせています。

「国民の安全」を掲げながらも、実際には国民を利用する権力者たち。

就寝中という理由で一度も登場しない大統領、ロボットのように動く官僚たち、そして人質の命よりも“北への憎悪”に満ちたファーストレディ――これらの描写が冷戦期の歪んだ社会を滑稽に映し出しています。

2-2. 🇯🇵 日本 ― 責任回避と理念の虚構

日本政府は事件発生当初から対応の稚拙さと責任逃れの姿勢を見せ、国民の安全よりも企業の利益を優先します。
その後も明確なリーダーシップを発揮することなく、韓国との外交的駆け引きに終始し、「国際社会での体面維持」にこだわります。

一方、ハイジャック犯である日本赤軍は、狂気じみた急進思想を掲げながらも、内部では階級秩序を維持し、多数決で決定を下すなど、彼ら自身が否定していた民主主義の矛盾を再現しています。
これらの描写は、当時の日本社会に根付いていた理念の空虚さと急進主義の限界を風刺的に浮かび上がらせています。

2-3. 🇺🇸 アメリカ ― 理想と現実の乖離

1970年当時、韓国軍は米軍の指揮下にあり、すべての状況をアメリカに報告する必要がありました。
映画に登場するアメリカは“世界平和の守護者”を自称しながらも、実際には韓国の若者を犠牲にしてでも国際法遵守を優先する冷徹な論理を見せます。

韓国政府が慌ただしく動く中、米軍関係者がハンバーガーを食べながら腕を組み、事態を眺めるシーンは特に印象的。
それはアメリカがこの事件を“人質劇”ではなく、“冷戦構造の中の安全保障問題”として見ていたことを象徴しています。
“人道”や“正義”の裏に隠された体制維持と自国利益の追求を痛烈に風刺しているのです。

3. グローバル反応分析:ロッテントマト100%の意味

🍂
グローバル評価(秋デザイン)
『グッドニュース』の主要プラットフォームによる評価一覧
プラットフォーム別スコア
プラットフォーム 評価 備考
IMDb 6.5 / 10  
Rotten Tomatoes 新鮮度指数100% 評論家全員が好評
Letterboxd 3.7 / 5.0  
Filmarks 3.6 / 5.0  
Naver 8.11 / 10  
  • Netflix映画『グッドニュース』は公開直後、非英語圏映画部門のNetflixグローバルTOP10入りを果たしました。
    ビョン・ソンヒョン監督の独創的な演出と俳優陣の名演、そして歴史的事件をブラックコメディとして再解釈した点が、国際的に高く評価されています。
  • 特に米映画サイトRotten Tomatoesで“新鮮度100%”を記録し、「すべての評論家が絶賛した映画」として注目を集めました。
    作品性・メッセージ性・芸術性のすべてにおいて完璧に認められた、極めて稀な成果です。

3-1. 🇰🇷 韓国社会の反応:ブラックコメディが投げかけた鋭い問い

3-1-1. ジャンルへの挑戦と論争

映画『グッドニュース』は公開直後、韓国社会で大きな議論を巻き起こしました。
実際の事件をブラックコメディで扱うという試みが斬新だという評価と、「悲劇を軽く消費しているのではないか」という批判が対立したのです。

多くの評論家は、ビョン監督の大胆な演出とジャンル的実験精神を高く評価しました。
1970年代の硬直した時代をコミカルに描き、過去の出来事を新しい視点から見直すきっかけを与えた点が印象的だという声が多くありました。
特に若い世代にとっては、歴史的事件をより興味深く知るきっかけになったという評価も見られました。

3-1-2. 風刺と倫理の境界線

一方で、事件の犠牲を笑いに変えたという懸念もありました。
政府関係者の間抜けさや、ハイジャック犯たちの滑稽な描写が、被害者の痛みを軽視しているように映るという指摘です。
それでも映画が「国益」と「体制宣伝」というキーワードを風刺的に扱っている点では、全体的に高評価が多く見られました。

3-2. 🇯🇵 日本社会の反応:歴史と風刺の交差点

3-2-1. 敏感な題材に対する複雑な反応

『グッドニュース』は日本でもNetflix同時公開となり、非常に大きな反響を呼びました。
よど号事件は日本現代史の象徴的な出来事であり、それを韓国の監督がブラックコメディとして描いたという点だけでも、多くの議論を生みました。

一部では「歴史的悲劇を軽く扱っている」という批判もありましたが、「別の視点から描いた新鮮な試みだ」という肯定的な意見も多数ありました。
特に日本の評論家たちは、この映画が単なる風刺ではなく、当時の社会矛盾や若者の思想的混乱を描いた社会劇としても機能していると分析しました。

3-2-2. 日本俳優たちの熱演とキャラクター解釈

山田孝之、笠松将、椎名桔平といった日本の実力派俳優の出演も、日本の観客に大きな関心を呼びました。
特にテロリストのリーダー・デンジを演じた笠松将は、イデオロギーと人間性の間で葛藤する複雑な人物像を見事に演じ切り、「今回の映画の隠れた主役」と評されました。
彼の演技が、作品全体のブラックコメディ的リズムを完成させたという評価も多く見られました。

3-2-3. 日韓関係と歴史認識の再照射

映画は事件解決の過程で、韓国と日本政府の協力と対立、そして体面と利益の綱引きを丁寧に描いています。
この描写が、日韓両国の観客に“異なる視点で歴史を見直す”きっかけを与えました。
日本国内では「韓国監督の視点でありながら、むしろ日本社会の矛盾を的確に突いている」という評価も少なくありませんでした。

📝 まとめ

『グッドニュース』は1970年代の実際の事件をモチーフにしながらも、ブラックコメディスリラーというジャンルを通して、今の私たちにも通じる問いを投げかけています。

「国家の危機の前で、人間はどんな選択をするのか?」
「正義とは何か?」
「歴史はどう記憶されるべきか?」

映画はこれらの問いに明確な答えを出さず、観客自身に考えさせる構成を取っています。
単なる娯楽作品を超え、『グッドニュース』は歴史的事件の再解釈の可能性と、ブラックコメディというジャンルが持つ社会批判的な力を印象的に示した作品です。
今後、韓国と日本の両国でこの映画がどのような新たな議論を生み出していくのか、その行方に注目したいと思います。