
皆さんは「韓国の夏のスイーツ」と聞いて、何を思い浮かべますか?
暑い夏、キンキンに冷えたスイーツでリフレッシュしたいですよね。日本には「かき氷」がありますが、韓国には「パッピンス(팥빙수)」という伝統的なかき氷があります。

かき氷が主にシロップで味わうものなら、韓国のピンスはあんこやお餅など、多彩なトッピングが特徴です。
そして最近、韓国ではこのピンスがさらに進化し、1人用で手軽に楽しめる「カップピンス」が夏の定番スイーツとして注目を集めています。
暑い日に軽く楽しめて、テイクアウトも可能。さらに見た目が可愛らしく、SNSでも話題に。
「ひとりで食べる文化」が定着している韓国では、ごく自然に新たなトレンドとして受け入れられました。
今回は、そんな「カップピンス」についてご紹介したいと思います。
韓国の「ピンス」とは?

ピンス(빙수)は韓国の伝統的な夏のスイーツで、細かく削った氷の上に多彩なトッピングをのせて楽しむのが特徴です。昔ながらの「パッピンス」は、小豆やお餅、干し柿、きな粉などを加え、甘さと香ばしさが調和した味わいが魅力。
現代ではフルーツや牛乳、チョコレート、チーズなどを取り入れたアレンジが増え、カフェメニューとしても大人気です。冷たくて甘い食感が、暑い夏にぴったりの癒しを与えてくれます。
地域によっては個性的なスタイルもあり、冬には温かいバージョンとして楽しむこともあるそうです。
ピンスの進化(近代ピンスの歴史)
| 🕰️ 時代 | 🌟 特徴 |
|---|---|
| 朝鮮王朝時代 | 氷は非常に貴重で、王族や上流階級のみが楽しんだ高級スイーツ。蜂蜜や果汁をかけて食べられていた。 |
| 20世紀中頃 | 冷蔵庫やかき氷機が一般家庭に普及し、大衆化。砂糖シロップや缶詰フルーツなどを使った多彩なパッピンスが登場。 |
| 1980年代 | アイスクリームや練乳を加えた洋風スタイルが誕生。ピンスは夏だけでなく一年中楽しめるスイーツへと変化。 |
| 2000年代以降 | カフェ文化の拡大により「雪氷(ヌンコッピンス)」がブームに。ミルクやクリームで作ったなめらかな氷に豪華なトッピングを組み合わせた高級デザートとして定着。 |
韓国のピンスは朝鮮王朝時代から存在していたと言われています。当時、氷はとても貴重で、主に王族や上流階級が食べる高級なスイーツでした。蜂蜜や果汁をかけて楽しまれていたそうです。
20世紀中頃になると、冷蔵庫やかき氷機が一般家庭に普及し、ピンスは庶民の夏のおやつとして定着しました。
砂糖シロップや缶詰フルーツなどを加えたバリエーション豊かなパッピンスが誕生し、1980年代にはアイスクリームや練乳などを加えた西洋風スタイルが登場。これにより、ピンスは夏だけでなく一年中楽しめるスイーツへと変化します。

2000年代にはカフェ文化の拡大と共に、ピンスは再び注目を浴びます。「雪氷(ヌンコッピンス)」と呼ばれる新しいスタイルは、牛乳やクリームを凍らせて削った氷を使用し、従来の氷よりも口当たりがなめらかでクリーミーなのが特徴です。
さらに、マンゴー・ストロベリー・グリーンティー・チーズなど多彩なトッピングを組み合わせ、高級デザートとしての地位を確立しました。
2010年代以降は、地域特産品を使ったピンスも話題になりました。済州みかん、ボソン緑茶、全州の黒ごまなど、韓国各地の味を活かしたメニューが登場。

健康志向やウェルビーイングのトレンドに合わせて、ヴィーガンピンスや低糖・有機素材を使った商品も増加しました。たとえば、ココナッツミルクや豆乳を使ったヴィーガンピンスは、動物性食品を避けたい人にとって理想的な選択肢です。
2025年、1人用カップピンスブーム到来!
2025年、韓国のピンス界に新たなトレンドが登場しました。それが「1人用カップピンス(컵빙수)」です。

実はこのコンセプト自体は10年前から存在していました。たとえば、2015年にカフェベネがCUコンビニとコラボし「ミニピンス」シリーズを販売、2019年にはコーヒーチェーン「The Venti(ザ・ベンティ)」が「飲むピンス」を発売しています。つまり、1人用ピンスの需要は以前から潜在的に存在していたのです。

そして2025年5月、SNSに投稿された「メガコーヒーのカップピンスレビュー」がバイラル化。
“コスパ最高・クオリティも!”という口コミが爆発的に拡散し、一気に「カップピンスブーム」が到来しました。
その中で生まれたのが「ピンス爆弾リレー」というミームです。これはカフェの店員が「他のお店のカップピンスの方がもっとおいしいですよ」とお客を他店に“送り出す”という、ユニークな現象を皮肉ったジョークでした
なぜ「カップピンス」がここまで人気に?

MZ世代がこのカップピンスに夢中になった理由は、単に“美味しいから”だけではありません。彼らのライフスタイルや消費傾向に、ピッタリと合っていたのです。
(1) コスパ+満足感の両立
物価高の時代に、1万ウォンを超えるピンスは少しハードルが高いですが、4,000〜6,000ウォンで楽しめるカップピンスは、コスパ良し・満足度も高い、いわゆる**“コスパ×心満足(カシンビ)”**を実現します。
(2) 1人暮らしに最適
誰かと分けるのが面倒だったり、気を使う必要もなく、気軽に1人で楽しめるのが魅力です。手に持って食べ歩きもしやすく、「自分だけの甘いご褒美」として人気です。
(3) デリバリーに最適
材料がカップにすべて収まっており、こぼれる心配も少なく、飲み物感覚で宅配可能。注文する側にも配達する側にもやさしいスイーツです。
人気のカップピンスTOP3ブランド
現在、韓国で「カップピンス」をリードしているのは、主に低価格のコーヒーチェーンです。
(1) メガMGCコーヒー「あずきジェラートパフェ(팥빙 젤라또 빙수)」

このブームの火付け役と言えば、やはりここでしょう。4,400ウォンという驚きの価格で、小豆・お餅・アイスクリームなど豪華なトッピングが盛り込まれており、発売からわずか1ヶ月で累計50万個を販売。
2025年6月中旬には180万個を突破し、分単位で26個売れるほどの大ヒットとなりました。
(2) コンポーズコーヒー「小豆きなこミルクシェイク(팥절미 밀크쉐이크)」

価格は4,500~5,500ウォンと手頃で、トッピングがのった「飲むピンス」スタイル。591mlというボリューム感と、甘くてクリーミーな満足感で20代女性に特に人気です。
“飲み物+デザート”として、軽食代わりに楽しむ人も多いそうです。
(3) イディヤコーヒー「1人用ピンス4種」

あずききな粉(팥 인절미)、超糖トウモロコシ(초당 옥수수)、マンゴー&グラノーラ(망고 그래놀라)、ハニーグレープフルーツ(꿀자몽 그래놀라)4種類のカップピンスを発売。
6,300ウォンとやや高価格帯ですが、“安定したおいしさ”を求める層から支持されています。
他にも、あの有名な「ソルビン」や「バスキンロビンス」も参入するなど、カップピンス市場はますます盛り上がっています。
| ブランド名 | 代表商品名 | 価格帯 (KRW) | 容量・サイズ | 主なトッピング&特徴 | ターゲット&ポジショニング |
|---|---|---|---|---|---|
| 🌊 メガMGCコーヒー | 🍨 あずきジェラートパフェ | 4,400 | 約300ml, 554g | あずきジェラート・粒あん・インジョルミ餅・練乳・シリアル | 🎯 コスパ最強!学生・若い社会人に人気、たっぷりトッピング |
| 🤍 コンポーズコーヒー | 🥤 小豆きなこミルクシェイク | 4,500〜5,500 | 591ml | 上牧場ミルクベース・あずき・インジョルミ餅 | 💃 20代女性向け・ドリンク+デザート・大容量&トレンドの甘さ |
| 🌊 イディヤコーヒー | 🍧 あずききな粉1人ピンス | 6,300 | 277〜331g | 氷・あずき・アイスクリーム・粒あん・インジョルミ・シリアル | ✅ 信頼の味わい、バランスの良い量感、洗練された印象 |
| 🤍 ソルビン | 🥛 あずききな粉シェイク | 4,900 | ベンティサイズ | インジョルミシェイク・ミルク氷・インジョルミ餅・アイスクリーム・あずき | ✨ 代表メニューの一人用再解釈・テイクアウト専用 |
| 🌊 バスキンロビンス | 🍨 たっぷりあずきカップピンス | 8,500 | 433g | あずき・インジョルミきな粉・練乳・多彩なトッピング | 💎 プレミアムアイスのかき氷、高級感あふれる雰囲気 |
| 🤍 ソンシムダン | 🍓 カップピンス(あずき・イチゴ・マンゴー) | 3,500〜4,000 | - | あずき・イチゴ/マンゴーピューレ・生クリーム・クッキー・餅 | 🏆 伝統の味、手作りあずき・ボリュームたっぷりトッピング |
| 🌊 ゴンチャ | 🧋 ロイヤルミルクティーあずきピンスシェイク | 6,900 | Lサイズ 473g | ミルクティースムージー・あずき・タピオカパール | 🌟 バブルティー専門店の融合かき氷、斬新な組み合わせ |
| 🤍 ホリス | 🥭 たっぷりアップルマンゴーカップピンス | - | - | アップルマンゴー・ココナッツチップ・ミルク氷 | 🎨 オーダーメイド感覚・見た目の美しさ抜群 |
| 🌊 デザート39 | 🧊 ポンジョルミカップピンス | 3,000円台 | - | ミルク氷・粒あん・インジョルミ・ジョリポン | 💰 コスパ最強、気軽に楽しめるチェーンデザート |
| 🤍 パリバゲット | ☕ ミルクカップピンス | 5,900 | - | ミルク氷ベース・シリアル・エスプレッソショット追加可 | 🍞 シンプルで上品な味、パン・ケーキとの相性抜群 |
カップピンスの流行は、単なる夏のスイーツブームではなく、韓国のMZ世代の実用的かつ価値重視の消費スタイルを象徴しています。
韓国旅行を計画中の方は、ぜひこの夏、伝統的なパッピンスだけでなく、トレンドの「カップピンス」も体験してみてください。
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